こんにちは。
住まいのコンシェルジュの杉野です。
前回は民法改正賃貸編でしたが、今回は売買に焦点を絞ってみましょう。
これまでに、不動産の売却、もしくは購入をした経験のある方なら、「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」という言葉を一度聞いたことがあるかもしれませんね。
「瑕疵(かし)」とは土地や建物の不具合、と考えていただいて構いません。
要は、物件を売却した際に発見した不具合について面倒を見ます(責任をとります)、ということです。
現実的には一般の方が売却する際には、「瑕疵担保責任免責」と言って、「不具合について責任は負いませんので、購入した方で直してください」という特約をつけることがほとんどです。
この「瑕疵担保責任」が、改正民法ではなくなり、代わりに、「契約不適合責任」というものが新たに登場します。
名前が変わっただけのように思いますが、売主にとって責任の範囲が拡がっています。
そもそも不動産を売り買いするのは、その土地に建物を建てる、第三者に転売する、中古物件を買いそこに住む、という目的を持って売買契約を結びます。
当然、売主としては買主の意向を知った上で契約に応じるわけですから、その契約がかなわない場合、その責任を負わなければなりません。
例えば、住む前提で一戸建てを購入したにも関わらず、雨漏りがひどくとても住めないというケースが出てきたとします。
しかし、売主は最近土地と建物を相続したばかりで、何年もその物件に住んでいなかったため、雨漏りについては全く知りませんでした。
ところが住むことを前提とした売買契約であるため、これは契約内容に合致せず、買主から売主に対しての追完請求(雨漏りを直してくださいということ)、代金減額請求、損害賠償請求、挙句の果てには契約解除…という事態に発展します。
一応、特約で免責事項を定めることはできますが、全ての内容を免責するという契約内容は難しいかもしれないというのが、弁護士の先生の見解でした。
ならば今後の不動産売買は売主の責任が膨らむばかりで難しくなっていくのか、ということですが、それについては次回にお話ししたいと思います。
それでは本日はこれまで。
次回も読んでいただけると幸いです。